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バーニング・アイス


"中国の東野圭吾" 紫金陳の人気シリーズ「推理之王」の第1作『無証之罪』を、中国の動画配信会社「愛奇芸(IQIYI)」が映像化したクライム・サスペンス。いわゆるネットドラマではあるんだけど、日本におけるそれとはケタ違いの完成度だった。



※こちら原作


雪に覆われたハルピン市内で、男の絞殺死体が見つかる。奇妙なことにその死体は雪だるまにくくりつけられ、さらには「捕まえてください」という貼り紙が。4年前から断続的に続く雪だるま殺人のそれが5番目の被害者だった。事件の早期解決を目指す当局により、現在派出所勤務の元刑事、"閻魔"の異名を持つ厳良に白羽の矢が立つ。

序盤は"中国の東野"の触れ込みなどもあり、『容疑者Xの献身』をイメージしながらの視聴になる人も多いだろうが、中盤からストーリーは思わぬ――というほどでもないけど、当初予想から外れる展開を見せ始める。その中でキャラクターの相関図には新たな矢印が放たれ、その先に驚きの人間関係が生じる一方、双方を結ぶ線の太さや色合いも時を追うごとに様々に変化していく。この変化のテンポが実に良く――そう、心地良く、昔の日本ドラマに見られたような「わざとらしくなるかならないかギリギリの線をついた伏線や引き」と相まって、読書でいうところの巻を措く能わざる緊張感をはらんだストーリーになっている。
幸い今回は録画したものを一気見できたけど、これを週イチの連ドラ設定で観ていたら、えらい焦れったかったろうなあ…。

放映局のBS12(トウェルビ)が製作総指揮の韓三平をクローズアップしているのは、スタッフやキャストが日本ではなじみのない名前ばかりだからだろう。だが、そんなことを気にする必要はない。観ているうちに、それぞれの役(役者)に愛着が沸いてくる。これは逆に、既知の見慣れた顔ぶれだったら起きづらい現象かもしれない。
社会の光と闇のコントラストが経済成長期の日本を思わせる極寒のハルピンも見どころ。陰鬱なこの作品の舞台として、ムードづくりに大いに役に立っている。
原作の第2作も出ているようだし、ドラマも第2弾に期待したい。

余談。netflixオリジナルなど配信系のドラマを何本か視聴して思ったことだが、ダウンロードコンテンツにこれほどの水準の作品を投入できるということに、単純に羨望を覚える。様々な制約によって先細る一方の我が国のドラマシーンと比較し、海の向こうは本当に元気なことだ。経済や外交より、文化の方面で斜陽を実感したとき、もうそれは後戻りできない国家の衰退期に入っていることなんだろうな。20世紀に入った頃のイギリスの皆さんも、同じことを思ったのだろうか。


[ 2019/05/22 12:21 ] ドラマ | TB(0) | CM(3)
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