KAGEROU/斎藤智裕


ポプラ社の本を読むのは『ルパン二つの顔』以来。30数年ぶりになるか。

KAGEROUKAGEROU
齋藤 智裕

ポプラ社 2010-12-15
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思ったよりまとまっていたが、思ったよりつまらなかった。
もっとハチャメチャに破綻した話で、でもいくらか才能が感じられなくもない――といったあたりを落としどころに、編集者&ブレインが調整していたものと想像していたのに、どうやら面白さより完成度を優先させる方向で赤を入れたようだ。

星新一のB級作品を長編化したような感じ。
というと、お解りいただけるだろうか。

表現力は多くの方が指摘しているとおり、まだまだだが、文章は書けばある程度は巧くなるものだし、これがデビュー作と考えると致命傷とはいえない。
巧くならなかったとしても、知名度(人気)と周囲の支援がある限り、なんとでもなるはずだ。
斎藤智裕が水嶋ヒロである以上、文章がヘタだからといってハシゴを外されることは考えづらい。少なくとも商業的には。
要するに、そうした類の作品と最初から割り切ればショックは少ない?

公募新人賞を通じて出版社が求めるのは、才能に限らない。売れるコンテンツの発掘というのも大きな目的だと思う。
裏があろうがなかろうが、主催者の意図が鉱脈の発掘にある以上、水嶋ヒロをスカウトした時点でポプラ社の勝利。残念なことだけど。

ただ、本人曰く、映像化を前提として書いた。というのだけは認めがたい。
それは他の応募者に対して失礼。
小説というジャンルに対しても。
思っているぶんには構わないけど、口に出しちゃダメだ。
ルール違反ではないが、マナーに欠ける。
といった点では、賞金2000万を辞退したというのも同様。
応募規定にある以上、この金額を意識しないで投稿したものはいないはず。そう思えば、他の応募者に対する侮辱だし、賞の権威を否定する行為でもある。

それより、俄然、佳作作品に興味が湧いてきた。
最大の読みどころはそこか!?
水嶋ヒロが応募しなければ、いちばん上に来たはずの作品。

調べたら、佳作ではなくて優秀賞というのね。
で、受賞ナシだって。
出版したものを比較されたくなかった――なんて勘ぐられるぞ。
その下の特別賞の受賞者(事実上の一般応募者の最上位)、あるいは割りを食って大賞を逃したばかりか、優秀賞=商業デビューまで逃すことになった?
う~ん。
だとしたら気の毒だ。

読了:2011/1/10
採点:☆☆★


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[ 2011/01/28 10:39 ] | TB(0) | CM(0)
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