シン・ゴジラは昼歩く


色の白いは七難隠す、とか。色の黒い(暗い)のも、いろいろ粗を隠せるもので。
そういう意味で、本作の予告編など公式トレイラーを見たとき、しっかり昼間のシーンで勝負にきているのがうかがえて、"庵野のゴジラ" と聞いて最初に抱いた不安は大幅に軽減された。

順番が逆になった。先にこれをいっておかないと。
『シン・ゴジラ』のスタッフ、関係者、初号はじめ内々の試写をご覧になった皆さん。公開まで口にチャック、きっとつらかったことと思いますが、お陰でネットにも露骨なネタバレは出ず、まっさらな状態で作品を楽しむことができました。ありがとうございます。
この一事のみもっても、日本はまだ大丈夫だと思えました。

もとい、
特撮――SFX作品は、概して邦画も洋画も暗い画面を選択することが多い。CGや各種視覚効果により、映像表現は現実に近づいている。しかし、そうしてツクリモノと現実との差が縮まれば縮まるほどに、差そのものは大きく目立つようになる。たとえば巨大怪獣が都市部に現れたときの嘘くささが、"いかにも着ぐるみ"時代より遙かに強調されてしまう。
硝煙ただよう戦場だったり、大気が高熱に歪む異世界だったり、夜だったり……昼であってもブ厚い雲に覆われ激しい雨が降り注ぐといったシチュエーションが、SFX作品において選択されるのはおそらくそのためだろう。2014年のギャレゴジも、クライマックスは陽の光の届かぬ真っ暗な中での戦いで、何が起きているのか分かりづらくてしかたなかった。

そこで『シン・ゴジラ』となるわけだが、ゴジラが行動する時間帯の大半が日中で、これは思っていた以上だった。例の"アレ"は暗いほうが映えるので、もちろんあそこは夜間が選ばれている。いるんだけど、それ以外はほぼ陽光に身をさらしているのが素晴らしい。

ゾンビが夜歩いているのはそりゃ怖いけど、昼間そのへんの街角に立っていたとして、それはそれでまた異質の怖さがある。いや、非現実が昼日中に現れる怖さは、夜に現れるそれより、遙かに強烈なものがあると思う。


[ 2016/08/02 13:27 ] 映画 | TB(0) | CM(0)
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